免疫強化のカギは細胞の中で働くミトコンドリア!“ミトコン活”で細胞力を鍛えよう③〜食事とミトコンドリア〜

免疫を高めるミトコン活。食事、睡眠、運動など生活習慣が大きく影響します。③では特にどのような栄養素がミトコン活に役立つのか、みていきましょう。

順天堂大学大学院 医学部 客員教授の太田成男先生がご登壇して、「ミトコン活で“細胞力”を高めて免疫を整える」オンラインプレスセミナーが7月1日(木)に開催されました。

食事とミトコンドリア

ミトコン活の食事の摂り方の基本は、朝、昼、夜、規則正しく食べることです。そして、ゆっくり食べましょう。消化酵素をつくるのにはエネルギーが必要で、早食いをすると消化を担う臓器のミトコンドリアが全力疾走をする勢いでエネルギーをつくらなければなりません。そのため活性酸素が多く生み出され、ミトコンドリアの質が低下します。

さらに、週1回だけプチ断食を行うことが効果的です。食べない時間を長くすることで、ミトコンドリアの生合成に必要な遺伝子が働き、ミトコンドリアがどんどん増えていきます。新しくできたミトコンドリアは活発にATPをつくり、活性酸素の排出が少ない高効率のミトコンドリアになります。ただし、プチ断食の時間でも水分補給はしっかりと行いましょう。

食事によるミトコン活の方法

コエンザイム Q10(+抗酸化作用) 、ビタミン B1(チアミン) 、ビタミン B2(フラビン) 、α-リポ酸(+抗酸化作用)、 L-カルニチン(脂質代謝)、 パントテン酸(CoA)、これらの栄養素 は、ミトコンドリアを元気にすることがわかっている栄養素です。これらの栄養素が含まれる食品を、毎日積極的にとることが重要です。

特に還元型コエンザイムQ10は、ミトコンドリア内でエネルギーを生産する工程に直接関わっています。また、強力な抗酸化物質であり、ミトコンドリアが出す活性酸素を抑える働きがあります。活性酸素は免疫活動に必要な物質ですが、量が多いと老化や病気の原因となります。

ミトコン活に大きく役立つコエンザイムQ10

コエンザイムQ10が含まれる主な食品を下に示しました。1日100mg摂ることで様々な健康に対するベネフィットが報告されていますが、食事から摂取できるのは1日5mg程度とされておりサプリメントとして補充も考えたいところです。

サプリメントとして摂るなら、体内でそのまま使える還元型コエンザイムQ10がオススメです。

「コエンザイムQ10は体内でも合成されていますが、加齢とともにその量は少なくなり、20 代に比べて40代では6割に、80代では4割まで落ち込みます。加齢による能力の低下は、どうすることもできませんが、食事や運動で補完できることは積極的に行っていきましょう」

〜コエンザイム Q10 が含まれる食品(100g中の含量)〜

牛モモ 3.03mg

牛カタ 4.01mg 牛レバー5.05mg

豚カタ4.5mg 鶏心臓 19.2mg

ハマチ4.01mg ブリ1.28mg ツナ缶1.49mg 

アボカド0.94mg 白菜0.45mg 納豆0.56mg

いりごま1.76mg  カリフラワー0.66mg

ミトコン活では運動と並んで食事も大事。中でも重要な栄養素は CoQ10です。食生活でもしっかり摂取したいですね。

太田成男(おおた しげお)先生

日本ミトコンドリア学会名誉理事長。日本医科大学名誉教授。順天堂大学客員教授。1974 年東京大学理学部卒業。1979 年、東京大学大学院薬学系研究科博士課程を修了した後、スイス・バーゼル大学バイオセンター研究所研究員、1985 年自治医科大学講師・助教授を経て、1994 年より日本医科大学教授、2003 年日本医科大学大学院教授、2015 年日本医科大学 先端医学研究所教授を経て、2017 年 3 月退官。30 年以上にもおよぶ研究から、ミトコンドリアに備わっている機能が心身の健康と密接にかかわっていることを発見する。ミトコンドリア研究の第一人者であり、日本ミトコンドリア学会名誉理事長、日本 Cell Death 学会評議員などを務めている。作家・瀬名秀明との共著「ミトコンドリアと生きる」、「体が若くなる技術」など、著書多数。