免疫強化のカギは細胞の中で働くミトコンドリア!“ミトコン活”で細胞力を鍛えよう②〜運動とミトコンドリア〜

免疫に関わる細胞内のミトコンドリア。

現代人の生活は、ミトコンドリアの量と質を低下させる要因が多いと考えられています。

順天堂大学大学院 医学部 客員教授の太田成男先生がご登壇して、「ミトコン活で“細胞力”を高めて免疫を整える」オンラインプレスセミナーが7月1日(木)に開催されました。

ミトコンドリアを活性化するための生活習慣=ミトコン活

現代人のミトコンドリアは量と質が低下しやすくなっています。

その要因とは、運動不足、過労、心的ストレス、不規則な生活、過食・偏食、睡眠不足……等、現代人が抱えている問題がそのままミトコンドリアの質と量に関係するからです。

また、大昔の人間とは異なり、夜中まで活動する現代人はエネルギーが必要となりATPが足りなくなっています。

ミトコン活に重要な運動については、国民健康・調査※1)による と、運動習慣のある人の割合は、男性で 33.4%、女性で 25.1 %であり、この 10 年間でみると、男性は横ばいですが、女性では有意に減少しています。年齢別に見ると、男性では40代が一番 低く18.5%、女性では30代では、わずか9.4%でした。

※1)令和1年(2019年)「国民健康・栄養調査」

同調査で運動習慣を改善しない理由として一番多いものは、「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がないこと」でした。まさに、忙しい現代人を表す理由となっていました。2番目に多いのは、「面倒くさい」こと。実は、ミトコンドリアの量は活動量に比例し、動かないでいると、どんどん少なくなります。

省エネ人間になってしまうと、意欲も失われ、さらに面倒になり悪循環に陥ってしまいます。

ミトコンドリアと生活習慣

「ミトコンドリアは以前から、酸素と糖、アミノ酸、脂肪酸を使ってエネルギーを生産する役割がわかっていました。しかし、同時に活性酸素を出すこともわかっています。ミトコンドリアの量は加齢とともに低下していきますが、質も低下し活性酸素を出し過ぎてしまうこともあります。しかし、生活習慣を変えて、 ミトコンドリアの質、量ともに向上することが可能です。その活動を“ミトコン活”と呼んでいます」

ミトコン活のポイントは、食事、運動、睡眠です。睡眠は良質な睡眠をとることが重要で、ミトコンドリアが元気になるとさらに睡眠の質もあがるという相乗効果が得られます。

ミトコン活チェックリスト

あなたのミトコンドリアは大丈夫?チェックしてみましょう。

□ 最近疲れやすい

□ 体力の衰えを感じる

□ 運動不足である

□ ストレスが多い

□ 早食いである

□ ついつい食べ過ぎてしまう

□ 生活時間が不規則

□ 睡眠時間が少ない

□ 寝ているのに疲れがとれない

□ 面倒くさがりで動きたくない

□ 肌が荒れている

□ 実年齢より老けてみられがち

〜ミトコンドリアと運動〜

運動でミトコンドリアが増える

「ミトコンドリアは細胞の中で、ダイナミックに分裂や連結をおこなっています。ミトコドンドリアは長く連結しているほど元気です。長いミトコンドリアにするには、運動が効果的です。ややきついと感じる運動が効果的です。下に示したインターバル速歩はミトコンドリアを元気にするためにオススメの運動ですが、継続して行うためには自分に合っている運動でもかまいません」

【ミトコンドリアが増える運動】

インターバル速歩

方法: 3 分早歩き、3 分ゆっくり歩き、を交互に繰り返す

頻度: 1日合計15分 週 4 日以上

5ヶ月間以上継続

免疫と深く関わるミトコンドリア。ミトコン活では運動も大事ですね。

続いてミトコンドリアと食事の関係を見ていきましょう。③に続きます!

太田成男(おおた しげお)先生

日本ミトコンドリア学会名誉理事長。日本医科大学名誉教授。順天堂大学客員教授。1974 年東京大学理学部卒業。1979 年、東京大学大学院薬学系研究科博士課程を修了した後、スイス・バーゼル大学バイオセンター研究所研究員、1985 年自治医科大学講師・助教授を経て、1994 年より日本医科大学教授、2003 年日本医科大学大学院教授、2015 年日本医科大学 先端医学研究所教授を経て、2017 年 3 月退官。30 年以上にもおよぶ研究から、ミトコンドリアに備わっている機能が心身の健康と密接にかかわっていることを発見する。ミトコンドリア研究の第一人者であり、日本ミトコンドリア学会名誉理事長、日本 Cell Death 学会評議員などを務めている。作家・瀬名秀明との共著「ミトコンドリアと生きる」、「体が若くなる技術」など、著書多数。