「服を増やす=おしゃれ」ではない! Underconsumption Core(過少消費コア)が共感を呼ぶアメリカZ世代の買い物哲学

「新しい服を買い続けることがおしゃれ」という価値観が、アメリカのZ世代女性の間で大きく変わりつつあります。

TikTokを中心に広がる「Underconsumption Core(アンダーコンサンプション・コア、過少消費コア)」。“少ない服で豊かに暮らす”というライフスタイルは数年前から広がりを見せ、多くの共感を集めています。

これは単なる節約術ではありません。服を買わないことが目的なのではなく、本当に好きなものを長く大切に使うことを重視する新しい消費スタイルです。

かつてSNSでは購入品紹介や大量買い動画が人気を集めていました。しかし近年は、「同じ服を10通り着回す動画」や「1週間同じデニムで過ごす動画」の方が注目されるようになっています。

アメリカのZ世代女性たちはどのような考え方で買い物をし、どのような方法で少ない服でおしゃれを楽しんでいるのでしょうか。

Underconsumption Coreとは? 「持たない」ではなく「賢く持つ」という考え方

Underconsumption Coreは、大量消費への反動から生まれた価値観です。

背景にはインフレによる生活コストの上昇や環境意識の高まり、そしてSNSによる消費疲れがあります。

次々と新しいものを買い続けるよりも、自分にとって本当に必要なものを見極める。そんな考え方に共感する若者が増えています。

Underconsumption Coreが目指しているのは、「何も買わない生活」ではありません。

必要なものは購入しながらも、衝動買いや無駄な買い足しを減らし、自分にとって価値のあるものを長く愛用することを大切にしています。

Part1|アメリカZ世代女性の買い物ルール

クローゼット・ショッピング——まずは家にある服を見直す

Underconsumption Coreを象徴する考え方のひとつが「クローゼット・ショッピング」です。

新しい服が欲しくなったとき、多くの人はすぐにオンラインショップや店舗をチェックします。しかし人は似たような服を買いやすいもの。

Underconsumption Coreでは、まず自宅のクローゼットを確認します。

実際に服を並べてみると、似たようなアイテムをすでに持っていたり、存在を忘れていた服が見つかったりすることも少なくありません。

「新しい服を探す前に、今持っている服を見直す」。

そんなシンプルな行動が、無駄な買い物を減らす第一歩になっています。

Cost Per Wear(着用単価)で考える

価格だけでなく、「何回着るか」を基準に考えようというルールも多くシェアされています。

例えば1万円のトップスを5回しか着なければ、1回あたりの着用コストは2,000円になります。一方で3万円のジャケットを100回着れば、1回あたり300円です。

このように購入価格だけではなく、長く使えるかどうかを重視する考え方を「Cost Per Wear(着用単価)」と呼びます。

安いから買うのではなく、長く活躍するかどうかで判断する。その考え方が若い世代にも浸透しています。

長く着られる素材を選ぶ

デザインだけでなく、素材にも注目する人が増えています。

以前はトレンド感が重視される傾向がありましたが、Underconsumption Coreでは「どれだけ長持ちするか」が重要です。

コットンやリネン、ウールなど、耐久性の高い素材を選び、毛玉ができやすいものや型崩れしやすいものは慎重に見極めます。

服を消耗品ではなく長期的なパートナーとして考えるため、購入前に素材表示を確認することも珍しくありません。

「ファンタジーセルフ」のために買い物しない

近年、TikTokで特に共感を集めているのが「Fantasy Self(ファンタジーセルフ)」という考え方です。

これは理想化された自分を意味します。

例えば、毎週おしゃれなピクニックに出かける自分、毎日ジムに通う自分、頻繁にホームパーティーを開く自分など。

実際にはそんな生活をしていないにもかかわらず、その理想像に合わせて服やアイテムを購入してしまうことがあります。

パーティーに行かないのにパーティードレスを買う、運動しないのに高価なヨガウェアを集めるといったことです。

Underconsumption Coreでは、「私は本当にその服を着る生活をしているのだろうか?」と自問します。

理想の自分のためではなく、現実の自分に必要なものを選ぶことが大切だと考えられているのです。

「今の自分のために買う」

ファンタジーセルフと関連して語られるのが、「今の自分のために買う」という考え方です。

痩せたら着たい服、予定がないのに旅行のための服、将来のイベント用の服、彼氏ができたら着たい服、転職したら使いそうな服・・・

そんな未来の自分を前提にした買い物ではなく、現在の自分がすぐに使えるものを選ぶことを重視します。

今のライフスタイルに合った服は自然と出番が増えます。その結果、着ないままクローゼットに眠る服も減っていきます。

Part2|少ない服で最大限おしゃれを楽しむ着回しテクニック

「1着を何十回も着る」——30回ルール

Underconsumption Coreでは、同じ服を何度も着ることがポジティブに捉えられています。
「1着を何十回も着る」「組み合わせを変えて楽しむ」。
同じ服を繰り返して着ることは 恥ずかしいことではなく、むしろ賢い方法として評価されているのです。

何度も着たくなる服やお気に入りのバッグから、自分にとって本当に価値のある服やバッグはどういうものがわかってきます。

制服化で迷わないクローゼットを作る

少ない服でおしゃれを楽しむ方法として、「制服化」も注目されています。

白シャツ、デニム、黒スラックスなど、自分らしい定番アイテムを軸にしてコーディネートを組み立てる方法です。

毎日違う服を着ることを目指すのではなく、自分に似合うスタイルを確立することを優先します。

その結果、服選びに悩む時間も減り、買い物の失敗も少なくなります。

古着を循環させる

Underconsumption Coreでは、新品を買わないことよりも、服を循環させることが重視されています。

着なくなった服は手放し、必要なものは古着やヴィンテージアイテムを活用する。

そんなサイクルを作ることで、大量生産・大量消費から距離を置こうとする人が増えています。

古着は単なる節約手段ではなく、自分らしいスタイルを見つける方法としても人気を集めています。

色数を減らして着回し力を高める

少ない服でおしゃれを楽しむ人たちのクローゼットには共通点があります。

それは色数が少ないことです。

白、黒、グレー、ブラウン、ネイビーなどを中心に揃えることで、どのアイテム同士も自然に組み合わせることができます。

服を増やさなくてもコーディネートの幅が広がるため、結果的に満足度の高いワードローブが完成します。

「何を買うか」より「どう着るか」の時代へ

Underconsumption Coreは、「服を買わない運動」ではありません。

本当に好きな服を選び、長く大切に着る。そして今ある服を最大限活かしておしゃれを楽しむ。

そんな考え方が、アメリカのZ世代女性たちの間で広がっています。

服の数を増やすことよりも、自分らしいスタイルを育てることに価値を見いだす若者たち。

「何を買うか」から「どう着るか」へ。

Underconsumption Coreは、これからのファッションとの向き合い方を考えるヒントを与えてくれる新しい価値観なのかもしれません。