
かつて野暮ったく、おしゃれとは無縁の存在というイメージのオタクファッションが、「ナードコア」として再評価され、地味で実用的、どこかダサさを感じさせるスタイルが新鮮に映るように。
海外ではナードコア的なスタイルはいくつかに分岐、細分化され、さまざまな〇〇コアが生まれています。司書風、オフィス風、学芸員風というように、ナードは“知性”と結びついて、さまざまなオタクファッションが派生し、定着・深化しています。
ここではナードコアから派生したさまざまな表現を辿り、進化する「ナードコア」の現在地を探っていきます。
ナードコアから分岐した主な派生スタイル

現在の海外トレンドでは、ナード的な価値観をベースに、さまざまなスタイルが生まれています。それぞれの特徴を簡単に見ていきましょう。
● ポエトコア
詩人や作家のような感性を取り入れたスタイルです。静かでロマンティックな雰囲気を持ち、“美しい知性”を表現します。
● ダークアカデミア
ヨーロッパの学生文化や古典文学を思わせる、重厚でクラシックなスタイルです。内向的で深みのある知性が特徴です。
● ライトアカデミア
ダークアカデミアの要素を持ちながらも、より明るく柔らかい印象に仕上げたスタイルです。親しみやすい知性を感じさせます。
● 司書風
日常に取り入れやすい、実用的で落ち着いたスタイルです。リアルで説得力のある知性を表現できます。
● インテリジェントコア
無駄を削ぎ落としたミニマルなデザインが特徴です。都会的で合理的な知性を感じさせます。
● オフィスサイレン
知的な要素に女性らしさやセンシュアルなムードを加えたスタイルです。強さと魅力を併せ持つ新しい方向性として注目されています。
● サイバーミニマリズム
テクノロジーや未来感を取り入れた、無機質でクールなスタイルです。理系的で現代的な知性を表現します。
● ミュージアム/ガバネス
美術館の学芸員や教師を思わせる、文化や規律を感じさせるスタイルです。落ち着いた品格のある知性が特徴です。
2026年の本命は「ポエトコア」!

こうした流れの中で、2026年に特に注目されているのがポエトコアです。
ポエトは詩人で、ポエトコアは詩人のような内面的な感性や物語性を重視したファッションのことを指します。
効率やスピードが重視される現代において、あえてゆっくりとした時間や感情の余白を感じさせるスタイル。
ポエトコアでは、本や詩、思索といったアナログな世界観をファッションに落とし込み、デジタル時代への反動を上手く表現しています。
基本となるアイテムは、シャツやニット、ローファーといったクラシックなアイテムです。ツイードやウールなど、温かみのある素材もよく使われます。
カラーはベージュやブラウン、生成りなど、ナチュラルで落ち着いた色味が中心です。
知性・感情・美しさのバランスが取れたロマンのあるスタイルとして説明されますが、物語性を滲ませる“雰囲気づくり”もポイント。静かに印象に残るファッションともいえます。
〜ナード系トレンドの広がりの意味するものとは〜
同じ“知性”でも、その方向性はさまざま。文学的でロマンのある知性、合理的で都会的な知性、あるいは規律や文化を感じさせる知性など、多様な表現が派生コアのもととなっています。
急速なデジタル化の流れの中で、人々は次第に「内面」や「意味」を見出しているようになっているのかもしれません。ポエトコアのように派手さではなく、静かな美しさと内面の表現を通して、シンプルなファッションがどんな価値観を有しているのかが重要視されるようになっています。
またデジタルの時代に不必要とされがちな価値観に、人々が価値を見出している「反動」でもあります。そのような時代への潜在的な視点が新しいムーブメントを生み出しているのでしょう。


