
「女性ならメイクをする」「外出するならムダ毛を処理する」「白髪は染める」「肌はきれいに整える」――。
これまで美容には、本人が望んでいるかどうかにかかわらず、「こうするのが当たり前」とされてきた習慣が少なくありませんでした。
ところが今、海外のSNSを中心に、こうした美容の常識を見直す動きが広がっています。
大きく変わっているのは、「やりたいからする」のではなく、「女性ならするべきだからする」という美容から距離を置く人が増えていること。
そこで今回は、海外で広がる「ありのままの美しさ」という価値観から、女性が「必ずしなくてもいい」と考えられるようになった美容習慣を12個紹介します。
① ノーメイクでもいい
まず分かりやすいのが、ノーメイクです。
これまで「人前に出るならメイクをするのが身だしなみ」という考え方は、女性にとってかなり身近なものでした。
しかし現在は、近所への外出だけでなく、カフェやレストランなどでも、あえてメイクをしない選択をする女性がいます。
「すっぴんを見せるのは恥ずかしい」「肌をきれいに見せなければ」という意識から少し離れ、
「今日はメイクをしたくないからしない」
という選択が受け入れられやすくなっているのです。
もちろん、メイクが好きならすればいい。
大切なのは、メイクをすることと、美意識が高いことを必ずしも結びつけないという考え方です。
② メイクはノーファンデでもいい
ファンデーションには、毛穴やシミ、ニキビ跡、色ムラなどを隠し、肌を均一に見せる役割があります。かつてはメイクをすることには肌をきれいに見せるということも暗黙のうちに含まれていました。
「きれいな肌=欠点のない肌」という価値観が強く、外出時にはファンデーションで肌を整えることが当然とされていたのです。
一方、現在は、
「肌を完全に均一にしなくてもいい」
という考え方が広がっています。
コンシーラーだけを部分的に使ったり、色付き日焼け止めや薄いティント系のベースだけで仕上げたり、あえて素肌感を残したり。
シミやそばかす、ほくろなどを「消すべき欠点」と考えず、肌そのものの個性として捉える方向へ、美肌の基準も変わりつつあります。
③ 眉を完璧に整えなくてもいい
眉毛も、実は「美容の義務化」を考えるうえで面白い部分です。
かつては、眉の形を整え、左右をできるだけ揃え、余分な毛を処理することが美容の基本とされていました。
しかし現在は、必ずしも完璧な形に整える必要はありません。
自眉の毛流れを活かしたり、多少の左右差を残したり、眉毛の太さや濃さを個性として楽しんだりするスタイルもあります。
つまり、
「眉毛を整える」から「自分の眉毛を活かす」へ。
眉にも「完成された形」を押し付けない考え方が広がっています。
④ ネイルをしなくてもいい
ネイルも、「女性なら指先まできれいにしておく」という美容観から少しずつ自由になっています。
ジェルネイルやアートネイルを楽しむ一方で、
- 自爪のまま
- 短い爪
- 透明なコートだけ
- 何も塗らない
という選択も珍しくありません。
特に、仕事や家事、育児、スポーツなどを考えると、ネイルをしないほうが快適な人もいます。
「ネイルをしてこそ女性らしい」という価値観から離れ、する・しないを自分で決めることが自然になってきたのです。
⑤ ムダ毛を処理しなくてもいい
今回のテーマを象徴する存在ともいえるのが、ムダ毛です。
脇や脚などの毛は、長い間「女性なら処理するもの」と考えられてきました。
しかし海外SNSでは、脇毛や脚の毛をあえて残した姿を見せる女性もいます。
ここで問われているのは、
「女性の体毛だけを、なぜ“ムダ”と呼ぶのか?」
ということ。
剃らない=だらしない
毛がある=美しくない
という評価から距離を置く。
これが「ありのままの美しさ」の大きなポイントです。
⑥ 白髪を染めなくてもいい
白髪も同じ流れにあります。
これまでは、
白髪=老化のサイン=隠すもの
という考え方が一般的でした。
そのため、白髪が目立つようになると、定期的にカラーリングをすることが美容習慣になっていました。
しかし現在は、白髪をそのまま伸ばしたり、黒髪とのコントラストを活かしたり、白髪をなじませるカラーを選んだりする人もいます。
単純に「白髪が流行している」ということではありませんが、
「年齢を感じさせないこと」だけを美しさの基準にしなくてもいい
という考え方が広がっているのです。
⑦ スキンケアを頑張りすぎなくてもいい
美容というと、「何をするか」だけでなく、「何を買うか」も大きなテーマでした。
化粧水、美容液、乳液、クリーム、パック、アイクリーム……。
肌悩みが増えるたびに新しいアイテムを追加することが、美容努力の一つとして捉えられることもあります。
しかし現在は、
「必要なものだけでいい」
というミニマルな美容も注目されています。
何種類ものコスメを常に買い足すのではなく、今持っているものを使い切る。
肌に合っているものを長く使う。
そもそも肌悩みがなければ、新しい美容液を無理に追加しない。
こうした考え方は、近年の「必要以上に消費しない」というUnderconsumption Coreの流れとも相性がいいものです。
美容は、お金やアイテムをたくさん使った人ほど美意識が高いというものではなくなってきています。
⑧ 髪を毎日完璧にセットしなくてもいい
髪にも「きちんと整える」という美容ルールがありました。
毎朝ブローして、アイロンで伸ばしたり巻いたりして、寝ぐせを完全になくして、ツヤのある髪に仕上げる。
もちろん、それが好きなら楽しめばいいのですが、昨今はよりエフォートレスな方向へ変わっています。
クセ毛やウェーブ、自然なボリュームなどを活かし、あえてラフな質感を残したり、毎日アイロンを使わなかったり、髪を自然乾燥させたり。
ここでも、「完璧にセットされた髪=きれい」
という一つの基準から、選択肢が広がっているようです。
⑨ ブラジャーで体型を補正しなくてもいい
ブラジャーも、「胸をきれいな形に見せる」という美容の役割から考えることができます。
これまでは、バストラインを整えたり、服をきれいに着るために体型を補正したりすることが、女性の身だしなみとして求められる場面もありました。
現在は、
- ノーブラ
- ブラトップ
- ブラレット
- リラックス系のインナー
など、快適さを優先する選択肢も広がっています。
「胸の形を理想的に見せなければならない」という考え方から離れ、
自分が快適な下着を選ぶ
という価値観です。
⑩ ハイヒールを履かなくてもいい
「美しく見えるためには多少の我慢も必要」という美容観を象徴してきたのが、ハイヒールです。
脚を長く見せたり、女性らしいシルエットを作ったりする一方で、長時間履くと足への負担もあります。
現在は、スニーカーやフラットシューズ、ローファーなどを選び、
「美しく見えること」より「自分が快適であること」を優先するスタイルも一般的になっています。
ここで変わっているのは、ヒールが不要になったことではありません。
「女性らしく見せるためなら、多少の不快感は我慢するべき」という発想そのものが弱くなっているのです。
⑪ 体型を補正しなくてもいい
服を着たときのシルエットも、大きく変わっています。
以前は、
- ウエストを細く見せる
- お腹をへこませる
- ヒップを持ち上げる
- 脚を細く見せる
など、身体を「理想的な形」に近づけることが美容の一部でした。
補正下着やシェイプウェアを使うこと自体が悪いわけではありません。
ただ、
「本来の体型をそのまま見せるのは恥ずかしい」
という価値観から距離を置く人が増えています。
体のラインが出る服を着るときも、無理に細く見せようとしない。
ボディポジティブやボディニュートラルの考え方ともつながる部分です。
⑫ 「痩せること」を美容の目標にしなくてもいい
そして最後に、最も大きなテーマがダイエットです。
長い間、女性の美容では、
細い=きれい
という価値観が強く存在していました。
そのため、「もっと痩せたい」「太ったからダイエットしなければ」という考えが美容と結びつきやすかったのです。
しかし現在は、
「自分の体を好きになること」を重視するボディポジティブだけでなく、「体を好きか嫌いかではなく、体を必要以上に評価しない」というボディニュートラルという考え方も広がっています。
健康のために体重を管理することと、他人から見て細くなることは別の話。
「美容のために必ず痩せなければならない」という考え方から距離を置くことも、新しい美容観の一つになっています。
「しなくてもいい」新しい時代の美容観の変化
ここまで紹介した12個に共通しているのは、美容そのものを否定しているわけではないということです。
変わりつつあるのは、「女性なら当然やるべき」という部分です。
これまで当たり前だったことに、
「これは本当に必要?」
「しなくても困らないのでは?」
「自分は本当にやりたい?」と、一度立ち止まる人が増え、こうした新しいムーブメントが起きているのです。
香りに関してもそうで、女性には「いい香りがして当然」「香水をつけてこそ身だしなみ」という、目には見えない美容ルールもありました。
一方、今は香水をつけない、香りを強くしない、無香料を選ぶという選択も自然に受け入れられています。
「女性ならいい香りをまとっているべき」という決めつけから離れ、香りをまとうことも、まわりに合わせて選ぶことも、何もしないことも自由というふうに変わってきているのです。
「美容をやめる」のではなく、「美容をする理由を自分で決める」へ。
この違いは小さく見えて、実はとても大きなものです。
ありのままの美しさとは、すべての美容を否定することではなく、
「こうしなければきれいではない」というルールから少し自由になって、自分にとって心地よい美容を選べること。
それこそが、今の海外SNSで広がっている「ありのままの美しさ」の新しい捉え方なのかもしれません。


